そして、その中で特に異質な遥の存在。


チラリとその姿を見る度に、グリンと首だけが回り、私を見つめる。


慌てて視線を逸らすと、視界に映る遥はゆっくりと前を向く。


クラスメイト達も、見ているはずなのに、誰も騒ぎ立てない。


もう、異質なんてものじゃない……あんなの遥なんかじゃない。


ただの化け物だ。


だったら、翔太も深く考えなくてもいいのに。


考えれば考えるほど、私の心の中が黒く染まっていくような気がする。


他人事かもしれないけれど、翔太が遥を殺して「明日」が来るのならそれでいいと、私は思った。


高広は乱暴者だけど、女子には優しいし、自分より弱い人に暴力を振るった事はない。


だけど翔太は、友達だと思っていたのに、私達を見下していたのだ。


健司と高広が、翔太に仕返しをしたから、私が殴る事はなかったけれど。


それ以上の事を、翔太がしなければならないと考えたら、それでも良かった。


昼休みに翔太は遥を殺す。


そうすれば、私達は助かるのだから。