「なんでもかんでも私に聞かないでよ……でも、私のカラダを探してくれたから、知ってる事は教えてあげる」


やっぱり……遥も、知っている事と知らない事があるんだ。


泰蔵に取り憑かれていた健司は、断片的に記憶を読み取る事ができたみたいだけど、遥もそうなのだろうか?


「美紀の『呪い』には、ルールがあるのよ。カラダが集まれば、美紀はその持ち主を解放しなければならないの。そのために、私の存在をクラスメイトの記憶にすり込ませて、私が戻る場所を作ってるみたい。あんた達が逆に、私の事を忘れて、クラスメイトにも忘れられたのも『呪い』のルール」


そこまで言って、遥は私の顔をジッと見つめた。


理解してる?って顔で見ているけど、まだ頭の中の整理が出来ていない。


おおざっぱに言えば、「昨日」が少しずつ変わっていたのは、遥が生き返った時に、皆に違和感を抱かせないため?


翔太がそんな仮説を立てていたような気はするけど……。


私の頭ではこれ以上考える事ができない。


「じゃあ、私達がクラスメイトに忘れられたのは何で? 忘れられる理由がわからないよ」


呟くようにたずねた私に遥は歩み寄り、ピンッと指で私の額を弾いて、口を開いた。


「そんなの決まってるでしょ? 消去されても、誰にも気づかれないようにするためだよ」