何の悪意も感じられないその言葉を、私はどう理解して良いのかがわからなかった。


この少女は何を言っているのだろう?


次は? 遊んでくれる?


次とは、何の次の事で、遊ぶとは、何をして遊ぶ事なのか。


たずねれば、美紀は答えてくれるかもしれない。


でも、無邪気に笑っているその笑顔が怖くて言葉が出ない。


「美子ちゃんが、赤い服が欲しいって泣いてたから、美紀ちゃんが服を赤くしてあげているの。でもね、どれだけ赤くしてもダメなの。美紀ちゃんみたいな赤い服が欲しいんだって。あ、でもこの服はダメだよ? これは美紀ちゃんの服だもん」


そう話しながら長椅子の上に乗り、小さく何度も飛び跳ねる美紀。


何もきかなくても、勝手に言いたい事を言う所は、やっぱり見た目通りの子供だ。


その子供が当たり前のように言っている言葉に、純粋な狂気を感じる。


自分が着ている服を譲りたくないから、他人の血で赤く染めようだなんて。


でも、そこまで聞いてやっと理解できた。


遥が、カラダを探していた私達の邪魔をするように、「赤い人」を移動させていた事や、人を殺して服を赤く染めさせている事。


「カラダ探し」は、美子の「呪い」なんかじゃない。