放送室のドアの隙間と、窓から見た姿はこれだったのだと。


さらに、いつか授業中に見た、遥の髪からのぞいていた目。


どこかで見た事があると思っていたのに、どうしてそれを忘れていたのか。


それが悔やまれた。


もしも、授業中に見たこの目をしっかりと覚えていれば、「カラダ探し」の結末は変わっていたかもしれない。


なぜ遥のカラダを探しているのに、放送室に遥がいるのかという事から、何かをつかめたかもしれないのに。


八代先生がそれを教えてくれなかったと言う事は、最後のカラダを納める時に、この場にいなかったのか、それか死んでしまっていたのだろう。


でも、今はそんな事を考えていても仕方がない。


遥の髪の間からのぞいている人物が、遥を操っていたに違いない。


そうでなければ、自分のカラダを探している私達を、遥が「赤い人」を使って邪魔している理由がわからないから。


「あ……あなたは、誰なの? 何のために私達にこんな事をさせたの!?」


健司が泰蔵に取り憑かれていたように、遥も誰かに取り憑かれているのかもしれない。


怒鳴りつけた私に反応したのか、遥の髪を分けている右手が、そこから出ようとするかのように、こちらに手を伸ばす。


そして次は左腕……。