私が棺桶に納めればすべてが終わる。


ここで失敗するわけにはいかないのだ。


暗くてよくわからなかったけれど、二階の廊下を見上げた時に、「赤い人」を見てしまったかもしれない。


もしも振り返って、殺されてしまったら、間抜けもいいところだ。


後ろを確認できないのは怖いけど、このままバックした方が早い。


「皆、『カラダ探し』を終わらせるからね」


そう呟きながら、一歩、また一歩と後退する。


そして、遥のカラダ納められている棺桶の、ポッカリと空いた頭の部分を見た時、それは降ってきた。






「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」






という咆哮が、小さな玄関前ホールを激しく震わせて、その直後、私に向かって「赤い人」が二階の廊下の手すりから跳躍したのだ。


その声に一瞬怯んだけれど、頭を納めるくらいなら間に合う。


「赤い人」に殺されるのが先か、私が頭部を納めるのが先か。


少しでも動けば、身を切り裂かれそうな空気に包まれていたけど、動かなければ殺される。