「赤い人」が急に振り返り、その手が高広の腹部を貫いたのだ。


高広の身体が「赤い人」に貫かれた所を、留美子と理恵は目の当たりにした。


膝から崩れ落ちる高広の姿を見て、次は私達の番だという恐怖に怯え、それでも頭を取り出そうと慌てていた。


「出ない、出ないよ! どうする!?」


高広の身体から、「赤い人」の腕が引き抜かれて、床に倒れる。


もう、ふたりを守ってくれる人はいない。


健司も翔太も恐らく殺された。


あの高広でさえ目の前で、「赤い人」の腕で貫かれたのだから、私達が止められるわけがない。


理恵も留美子も、考える事は同じだった。


「ああ! もうウザい!! 頭が出ないなら、穴を広げるよ! 理恵はそっち持って!」


目の前に迫る恐怖のせいで、精神的に極限状態に追い込まれた留美子は、ぬいぐるみを引き裂こうという衝動に駆られていた。


どうしてこんな事に巻き込まれているのかと、「カラダ探し」が始まった時からの思いが、ここに来て爆発してしまったのだろう。


ぬいぐるみの糸がほつれた部分に手を突っ込み、理恵の顔を見る。