「そこまで考えたなら、他に何を考えんだ? この上の廊下まで『赤い人』を連れて来ればいいんだろうが」
「高広、お前話を聞いてたのか? ここでぬいぐるみから頭を取り出してたら、その間に皆殺されるって言ってるんだ」
「だったら、走りながら取り出せば良いだけだろ。簡単な話じゃねぇかよ」
高広が翔太と言い合いになる時は、不思議と高広が言い負かす事が多い。
翔太はできるだけリスクが少ない方法を考えようとしているのだろうけど、「赤い人」と対峙しなければならない事自体が、死を覚悟しなければならないから。
リスクなんてレベルの話じゃないのだ。
「仮に……その方法で行くとして、誰が『赤い人』からぬいぐるみを奪う? ぬいぐるみの中から頭を取り出しながら走るなんて、かなりきついぞ? 遥が小顔だからと言っても、5キロはあるだろ。それを持ちながら走れるのか?」
「あー……ごちゃごちゃうるせぇな! どうせやらなきゃならねぇ事だろうが! 俺が最初に行ってやるよ。それで文句はねぇだろ!」
このままじゃ喧嘩になる。徐々にヒートアップする会話を止めようと、私が口を開こうとした時だった。
「……待て、俺が……やる……」
苦しそうに天井を見上げる健司が、そう呟いた。
「高広、お前話を聞いてたのか? ここでぬいぐるみから頭を取り出してたら、その間に皆殺されるって言ってるんだ」
「だったら、走りながら取り出せば良いだけだろ。簡単な話じゃねぇかよ」
高広が翔太と言い合いになる時は、不思議と高広が言い負かす事が多い。
翔太はできるだけリスクが少ない方法を考えようとしているのだろうけど、「赤い人」と対峙しなければならない事自体が、死を覚悟しなければならないから。
リスクなんてレベルの話じゃないのだ。
「仮に……その方法で行くとして、誰が『赤い人』からぬいぐるみを奪う? ぬいぐるみの中から頭を取り出しながら走るなんて、かなりきついぞ? 遥が小顔だからと言っても、5キロはあるだろ。それを持ちながら走れるのか?」
「あー……ごちゃごちゃうるせぇな! どうせやらなきゃならねぇ事だろうが! 俺が最初に行ってやるよ。それで文句はねぇだろ!」
このままじゃ喧嘩になる。徐々にヒートアップする会話を止めようと、私が口を開こうとした時だった。
「……待て、俺が……やる……」
苦しそうに天井を見上げる健司が、そう呟いた。