そんな中、健司のそばにいた高広が立ち上がり、口を開いた。


「おい、健司! 大丈夫かよ!」


高広のその言葉に緊張が走る。


ガクリと首をたらして、フラフラと身体を左右に揺らしている健司の姿に、山岡泰蔵の影を感じてしまう。


このまま山岡泰蔵になってしまえば、少なくとも近くにいる高広と翔太は殺されるだろう。


今、山岡泰蔵が出てくると、私達は何もしないまま終わるのだ。


「……だい……じょうぶ。でも、早くして……ほしいかな」


垂れた首を、強引に上げた健司の顔から、汗が飛び散る。


それほどまでに苦しいものとは知らずに、私達は考える事を翔太に任せていた。


高広だって、健司を励ましているのに……。


「健司! 頑張って!」


そう考えたら、私は思わず立ち上がり叫んでいた。


私なんかができる事なんて、これくらいしかない。


頭も良くなければ、走るのも遅い私は、皆のつなぎ役になるって決めたから。


それができないなら、私の存在価値がないような気がした。


「健司もそろそろ限界か……くそっ! どうすればいいんだよ!」