健司は相変わらす苦しんでいる様子で、寒い校舎の中だというのに、汗の量が尋常じゃない。
まるで真夏に運動をしているような……それくらいの汗が流れ落ちていた。
「『赤い人』を見たら、振り返る事ができねぇだろ? なら、どうやって連れてくるんだ?」
「それは難しい事じゃないだろ? 『赤い人』は誰かを見つけたら、歌を唄わずに、笑いながら追いかけてくるだろ? だから、『赤い人』がいる場所で目を閉じて待って、笑い声が聞こえたら、ここまで走ってくる。これで良いだろ?」
翔太の提案に、誰も反論しない。
でも、私はひとつ気になる事があって、それはこの作戦の致命的な欠陥とも言えるものだと思えた。
「ちょっと待って、ここに連れてくるのは良いんだけど、誰がぬいぐるみから頭を出すの? 頭を出すまでに、皆殺されちゃうよ?」
「ひとりが死んでも、残ったやつで出せばいいだろ? 何も一瞬で全員殺されるわけじゃないんだ」
翔太のその言葉を聞いて、私は言わなければならない事を言っていない事に気づいた。
いや、わかっていても、それが一番可能性が高いと思ったから、言うのを忘れたのかもしれない。
「昨日」、私と理恵、高広が殺されるまでに三秒もかからなかった事を。
まるで真夏に運動をしているような……それくらいの汗が流れ落ちていた。
「『赤い人』を見たら、振り返る事ができねぇだろ? なら、どうやって連れてくるんだ?」
「それは難しい事じゃないだろ? 『赤い人』は誰かを見つけたら、歌を唄わずに、笑いながら追いかけてくるだろ? だから、『赤い人』がいる場所で目を閉じて待って、笑い声が聞こえたら、ここまで走ってくる。これで良いだろ?」
翔太の提案に、誰も反論しない。
でも、私はひとつ気になる事があって、それはこの作戦の致命的な欠陥とも言えるものだと思えた。
「ちょっと待って、ここに連れてくるのは良いんだけど、誰がぬいぐるみから頭を出すの? 頭を出すまでに、皆殺されちゃうよ?」
「ひとりが死んでも、残ったやつで出せばいいだろ? 何も一瞬で全員殺されるわけじゃないんだ」
翔太のその言葉を聞いて、私は言わなければならない事を言っていない事に気づいた。
いや、わかっていても、それが一番可能性が高いと思ったから、言うのを忘れたのかもしれない。
「昨日」、私と理恵、高広が殺されるまでに三秒もかからなかった事を。