私達は、万が一の場合と、理恵の心情を考えて、少し離れた場所の長椅子に座っていた。


男子とは棺桶を挟んでいるけど……目の前の、頭部がない遥のカラダは見た目以上に不気味で。


死体と言うには、今にも動き出しそうなほど血色が良く、かと言って、生きているのかと言うと時間が止まっているかのようにピクリとも動かない。


「ねえ、今までじっくり見た事がなかったから、気にしてなかったんだけど……遥のカラダ、つながってない?」


「えぇ?……あ、ホントだ。服も切れてたよね? 今はつながってる」


理恵の言葉を聞き、棺桶の縁に手を置いて、留美子が遥の制服を触る。


その姿を理恵と一緒に見ていたけど、確かに切れていない。


これは、間もなく遥が生き返ると言う暗示なのだろうか?


まあ、ここまで来たら、何を考えても仕方がない。


最後のひとつを納めた時、どうなるのか……それだけが気になっていた。









『「赤い人」が、生産棟三階に現れました。皆さん気をつけてください』










「来たか、でも生産棟の三階か……ここに来る可能性は低いな」