やっと落ち着いた胸の高鳴りが……再び私を襲う。


「た、高広? もしかして起きてるの?」


そうたずねてみるけど、返事はなくて……。


私の胸の辺りにあった腕が、ゆっくりと身体の上へと移動して、高広の右手が私の頬に添えられた。


そして、私の耳元に顔を寄せながら、優しく顔を上に向けた。


ああ……キスされるんだと、その雰囲気に溶けそうになりながら、迫って来る顔を見ると……。


そこにいたのは、高広ではなく、ニタリと笑みを浮かべる遥だった。










「ねえ、明日香……私のカラダを探して」











「いやああああああっ!」


眼前に迫る遥を、手で押し退けるようにして、私はベッドから転げ落ちた。


身体を起こしてベッドの上を見てみるけど……もう遥の姿はない。


高広に抱かれていると思ったのに、こんなタイミングで遥が現れるなんて。


いつもいつも、現れてほしくない時に限って現れる。


温かい気持ちで心が満たされてドキドキしていたのに、今は恐怖と怒りで心臓の鼓動が早くなっていた。