「わ、私……お風呂に入ってくるね」


「お、おぅ」


なんか、この会話も変な気分になってしまう。


私の部屋なのに、ゆっくり落ち着けるような雰囲気でもなく、ずっとドキドキしっぱなし。


お風呂上がりにパジャマだったら……高広はどう思うかな。


なんて、そんな事を考えながら、私は部屋を出た。


遥が現れる事もなく、お風呂に入る事ができた私は、部屋のドアの前に立っていた。


手には制服、パジャマを身に着けて。


さっきの妙な雰囲気のせいで、こんな格好になっちゃったけど……冷静になってみれば、私は何をしているんだろうと思ってしまう。


別に、変な事をするわけじゃないのに、ただ唇が触れただけなのに。


また、唇をさすりながら、そんな事を考える。


でも、いつまでもここで立っていても仕方がない。


私は覚悟を決めて部屋のドアを開けた。


「……って、何なのよ」


ドキドキしてドアを開けたのに、高広は前に来た時みたいに、私のベッドに仰向けで眠っていたのだ。


あんな事があったのに、良く平気で眠れると、少し呆れながら、私はベッドに歩み寄った。


少し覚悟をして来たのに、これじゃあいろいろ台無しじゃない。