は?




何それ?




目を開けた私の前で、手を合わせて謝っている高広の姿がそこにはあったのだ。


なんだか拍子抜けしてしまったけど、それが高広らしいと言えば高広らしい。


私はそれに、少し安心した。


あれから、少し気まずい空気に包まれて、私達は何も話せないまま時間を過ごした。


夕食をとり、部屋に戻った私達はまた黙ったままで、お互いに少し離れた場所に座る。


唇にはまだ感触が残っているような気がして、何度もその部分を人差し指でなぞっていた。


あれは、キスした事になるのかな?


私のファーストキス。


「カラダ探し」が終わったら返事をするって言ったけど、キスをしてしまったら、それが返事になってしまわないかな?


今の気持ちのままなら、それでも良いけど。


やっぱり約束したわけだから、それまでは答えを出さない方が良いのかもしれない。


「19時か……」


時計を見て、私はそう呟いた。


今日もまた、少し変化があった。


だとすれば、「昨日」と同じ時間にお風呂に入れば、遥が頼みにくる事はないかもしれない。