「いや……気になる事があったからな、健司がどうして怒っているか、理由知りたくねぇか?」


高広の言葉に、留美子も黙ってしまった。


「翔太、お前……俺だけじゃなくて、理恵にも『赤い人』を押し付けたんだろ? 何考えてんだよ?」


健司のその言葉に、留美子を止めたはずの高広が、翔太をにらみ付け、歩み寄った。


「翔太、そりゃあどういう事だ? 『赤い人』を押し付けただと?」


まだ立ち上がっていない翔太の前にしゃがんで、にらみ付ける高広。


そう言えば、「昨日」は玄関で別れてから、高広は見ていない。


私が死んだ後、何かあったのだろうか?


「誰かが死ぬんだ、俺の変わりに健司と理恵が死んだ……ただそれだけの話だろ? それに俺も死んだんだ。いいだろ、それで」


まだ翔太はそんな事を言っているの?


翔太が巻き込んで殺したのはふたり。


それを自分も死んだからいいだろって。


「何なのそれ……もしかして、私が二階に行ってたら、私が翔太に殺されてたって事?」


留美子が、怪訝な顔を翔太に向ける。


「俺が殺したわけじゃないだろ!? 殺したのは『赤い人』だ!」