このまま、夜もこの調子でいてくれたらと思っていた。


もしも、健司が山岡泰蔵に負けてしまったら、翔太の立てた作戦が上手くいかなくなるから。


棺桶を前にして「赤い人」を待つ。


その間に山岡泰蔵に殺されてしまえばそこまで。


そうはなってほしくない。


「さてと、これからどうする? 今日で最後になりそうな気がするし、また皆で遊びにいく?」


お弁当を食べ終わった留美子が立ち上がって、柵にもたれかかりながらたずねる。


「おいおい、気が早いんじゃないのか?まだぬいぐるみの中に頭があるって決まったわけじゃないんだ」


「なかったらなかったで、クラブハウスに向かえば良いだけじゃん。今日終わらなくても、『明日』終わるって」


慎重な翔太と、楽天的な留美子。


よくこんなメンバーでここまでやってこれたものだと、私は不思議に思った。


お弁当箱をバッグに片付け、遊びに行く気満々の留美子。


早く遊びたいといった様子で、まだ食事中の理恵をせかす。


「留美子、ゆっくり食べさせてよ。早食いは良くないよ」


そう言いながら、理恵はマイペースで食べ続けた。


理恵は食べ物を良くかんで食べるから、まだ半分も食べていない。


「じゃあ……俺は家に帰るよ。ばあちゃんが見たがってる写真を見せてやらないといけないし」