「なんだよ、だったら悩む必要なんてねぇじゃねぇか。何人死んでも、最後のひとつを棺桶に入れれば、それで終わりって事だろ?」


ハッ!と鼻で笑い、立ち上がる高広。


皆も安心した様子で、理恵なんかは笑顔を見せている。


「あ、でもね、最後のひとつを棺桶に納める時に……」


と、八代先生が何かを言いかけた時だった。


「八代先生、レポート提出に来ました」


玄関から入って来た女生徒が、レポート用紙の束を持って、八代先生の背後に立っていたのだ。


「早いな……まあ、とにかくキミ達。ききたい事があれば、またこの時間に来なさい。いいね」


そう言い、女生徒と共に職員室に歩いて行った八代先生。


最後に何を言いかけたのかわからないけど、とにかく誰が死んでも大丈夫だとわかった私達には、ある種の余裕が生まれていた。


八代先生との話も終わり、再び屋上に戻った私達は、「昨日」とは違い、健司も含めた6人で昼食をとっていた。


こうして皆そろって何かをするなんて、ずいぶん久し振りな気がする。


留美子や理恵は、まだ健司の事を完全に信用をしてはいないようだ。


でも、日中の健司は、この前家に行った時と比べると、荒れた様子もなく穏やか。