「ここで、誰と話をするんだ?」


初めて旧校舎に来たというような様子で、健司が辺りをキョロキョロと見回す。


「そっか、あんたは知らないんだね。八代先生っていう、昔『カラダ探し』を終わらせた先生がいるんだよ」


そんな説明をしていると、職員室から翔太が、八代先生を連れて出てきた。


ふたりは私達の前で立ち止まり、八代先生がそこにいる皆を見回す。


「キミ達が『カラダ探し』をやっているのか。僕に何をききたいんだい?」


私達は何度も会っているのに、八代先生にとっては初めて出会うのだ。


「私達は後ひとつ、カラダを集めたら『カラダ探し』が終わるんです。でも、最後のひとつを棺桶に入れた時、死んでいる人はどうなるんですか? もしかして、死んでしまうんですか?」


考えて質問を選んでいる余裕はない。


先生はすぐに職員室に戻るのだから。


「いや、『カラダ探し』で死ぬ事はないよ。最後のひとつを棺桶に納めたら、普段の生活に戻る事ができるんだ」


八代先生の言葉に、私はホッとした。


誰も死ぬ事なく、「カラダ探し」を終える事ができるなら、ぬいぐるみの中に頭が入っていたとして、それを奪って殺されても問題はないのだから。