死んだ人は死んだまま、明日が訪れるのか、それとも、誰かひとりでも生き残っていればいいのか。


それを知っている人はひとりしかいない。


「無理でもやるしかねぇだろ。頭がそこにあるとしたらな」


話は進んでいく。


「赤い人」が引きずっている、全長60センチくらいのぬいぐるみの中に頭があると仮定して。


その後、私達は昼休みになる直前まで屋上で過ごした。


カラダの最後のひとつが、ぬいぐるみの他に、どこにあるかという事を考えたり、ぬいぐるみの中にあった場合、どうやってそれを奪い、棺桶に納めるかという事を。


後者だった場合、一番可能性がありそうな作戦は、全員で棺桶を前に、玄関の方を向いて立つ。


そして「赤い人」が来るのを待って、そこで素早くぬいぐるみを奪い、中にあるはずの遥の頭部を取り出して納める。


その間に何人死ぬかはわからないけど、それが一番確実で可能性が高いのだ。


そんな事を考えて、私達は八代先生に話を聞くために、旧校舎の職員室に来ていた。


「失礼します!」


「昨日」と同じように翔太が部屋に入る。


でも、入るのは翔太だけ。


職員室から出される事がわかっているから、私達は玄関前の階段に腰かけて、ふたりが出てくるのを待っていた。