ずっと私の腕をつかんでいた理恵が、皆を見回しながらそう言った。


「そうかもしれないけど……ん? 理恵、お前、今何て言った? ぬいぐるみを取り上げたらダメって言ったのか?」


さらに反論しようとした翔太だったけど、理恵の言葉に引っかかるものを感じたのか、いぶかしげな表情を浮かべて理恵を見た。


「あれ? まだ言ってなかったの? 『赤い人』のぬいぐるみを取り上げたら、振り返らなくても、歌を唄い終わらなくても、殺されちゃうんだよ。山岡泰蔵に取り憑かれてる時の健司みたいに」


しかも、ぬいぐるみを取ったら、その本人だけでなく、周囲にいる人まで巻き込んで。


私は最後に殺されたから、それを知っている。


「おいおい、冗談はよせよ。百歩譲って、ぬいぐるみの中に頭があったとしようか。でも、それを取り上げたら殺されるんだろ? どうやって頭を棺桶に入れるつもりだ? どう考えても無理じゃないか……」


翔太の言う通り、もしもぬいぐるみの中に頭部があった場合、それを棺桶に納める事はかなり困難だ。


仮に納める事ができたとしても、きっと何人かは死ぬ。


誰かが死んだ状態で「カラダ探し」が終わったら、どうなってしまうのだろう?