「おぅ、あのぬいぐるみな。やたら硬かったけど、あれは『赤い人』の武器か?」


そんなわけはないと思うけど……確かに私も何度かぬいぐるみが当たって痛かった記憶がある。


「もしかすると……あの中に遥の頭があるんじゃないのか?」


健司のその言葉に、私は息を飲んだ。


高広の言うように、あのぬいぐるみは中に何かが入っているかと思うくらい硬かった。


でも、翔太に目をやると、眉間にシワを寄せて目を閉じている。


「まてまて、確かに俺も、ぬいぐるみが硬い事には気づいたけど、ありえないだろ……カラダは校舎に隠されているんだろ? だったら、ぬいぐるみの中にあるのはおかしいんじゃないのか? 初日に来たメールにも、校舎にあるって書いてあったはずだ」


「でもよぉ、あのメールには、山岡泰蔵の事も、放送室の中に入れない事も書いてなかったじゃねぇか。だったら、『赤い人』が持ってるって書いてなくても、おかしくはねぇだろ?」


翔太の理屈に対して、高広が屁理屈で答える。


でも、今の状況では、高広の言う事の方が正しいように思える。


「そうだよね……私も高広の意見に賛成かな。だって、見えない壁の事も書かれてなかったし、ぬいぐるみを取り上げたらダメだって事も書いてなかったんだから」