「でもさ、最後のカラダがどこにあるかわからないでしょ? 今までみたいにやみくもに調べても、その調べる所がもうないんだよ?」


私のその言葉に、何も言えずに目を閉じる高広。


できれば、すごく簡単な所を見落としていて、そこにカラダがある事が理想だった。


カラダが残りひとつになり、「昨日」が変わった。


その事で、八代先生と話ができる時間も変化してしまったわけだけど、今日はどうなのだろう。


最悪、「昨日」みたいに昼休みに乗り込めば、強引に話をする事はできるけど、今さら何をきけば良いかもわからない。


「もう、探す場所がないんだよな……放送室にも壁があったんだろ? 八代先生が入れなかったって言った理由がわかったよ」


翔太も行き詰まった様子で、柵にもたれかかり空を見上げる。


「まだあるじゃん、クラブハウスとか。屋上からまた下りる事になるけどさ」


「それはそうだけど……健司に襲われるかもしれないって考えると、あまり行きたくはないよな」


そうか、留美子はあの光景を見てないんだった。


翔太が屋上に引き上げられる途中で地面に落下してしまった事を。


ただでさえ下りるのを怖がっていたのに、上る時に途中で落とされたのだから。