健司の話の信憑性を確かめるためとはいえ、聞かなければ良かったとさえ思った。


しばらくふたりで風に吹かれていると、留美子が迎えにきてくれた。


健司の話を、翔太がつなぎ合わせて出した結論に、留美子自身もまた、気分が悪くなったようで。


いつもならまくし立てるように話をするのに、そのテンションは低め。


でも、その分落ち着いて話を聞けた。


留美子の話では、健司の祖父の雄蔵には、幼女趣味の気があったらしいけれど、世間体を気にしておばあちゃんとお見合い結婚。


でも、兄の泰蔵をどうにかしたいと思っていた雄蔵は、事件を起こした。


美子を犯して、それを隠蔽するために身体を斧でバラバラにしてしまった。


凄惨な事件であればあるほど、真実を隠す事ができる。


もしも発覚したとしても、泰蔵がやった事にすれば良い。その罪を着せて自殺に見せかけて殺したというのだ。


雄蔵は、同時に二つの欲求を満たした事になる。


……それを知った私も気分が悪くなった。


本当に知らなければ良かったと後悔するくらいひどい事件。