理恵もまた、同じような心境なのだろう。


「ごめん翔太。後で話を聞かせて。理恵を向こうに連れて行くから」


今にも泣き出しそうな理恵の肩に手を置いて、私は屋上の南側に向かった。


屋上の南側、柵にもたれかかり、ふたりでグラウンドを眺めていた。


考えたくないのに、健司の話を聞いてしまってから、その光景を想像して頭から離れない。


理恵を襲おうとした健司と、美子を襲った健司の祖父、雄蔵。


血がつながっているから……なんて、そんな一言で片付けて良いのかわからないけど、理恵はどう思っているのだろう。


「なんかさ、聞かなきゃ良かったね……悲しすぎるよ」


美子がバラバラにされたという事はわかっていたけれど、あくまでもそれは、私達が導き出した話だった。


それが、健司から話を聞いた事で、仮定の話が確定に変わってしまったのだから。


「悲しいよね。美子も泰蔵も、雄蔵がいなきゃ、今でも生きてたかもしれないのにね」


理恵がどう思っているのかわからないけど、私はそう言う事しかできなかった。


事件の真相はさっきの話で大体理解した。


でも、それと「カラダ探し」は別の話なのだ。


美子がどんな風に、何を思って殺されたのかを知ったところで、私達が「カラダ探し」をしなければならない事に変わりはない。