酷かもしれないけど、健司が何を考えているのかを教えてほしかった。


まさか、授業を受けるためだけに学校に来たわけじゃないだろうから。


「健司さぁ、黙ってるなら何しに来たわけ? 私達も、最後のカラダがどこにあるか考えないといけないから忙しいんだけど」


いつまで経っても話そうとしない健司にしびれを切らしたのか、留美子がいらだち始める。


私も何からきけば良いかわからないから、留美子がいらだつのはわからなくもない。


「まあ待てよ。健司は『赤い人』から俺を助けたんだぜ?それで時間を稼いでくれたから、カラダを見つける事ができたんじゃねえか」


「そんなの、健司が私と翔太を殺さなかったら、もっと早くに見つけてたって事でしょ!? 生徒玄関にカラダがあったのならさ!」


留美子の言っている事は正論だけど、私が気になっているのはそこじゃない。


なぜ、高広だけ殺されなかったのかという事。


「健司はどうなの? 山岡泰蔵に取り憑かれてる時は、私達を殺してるってわかってるの?」


私は、そこが重要だと思った。


「山岡泰蔵……そいつだよ。俺の中に入ってきて、俺は目の前でお前らが殺されるのを見る事しかできない。身体を動かせないんだ」