通学途中、いつもの場所で理恵とも合流して学校に向かう。


やっぱり、「昨日」がさらに変化しているらしく、例の猫がいた場所には代わりに小さな仔犬がいた。


「あ、かわいい。首輪がないから、飼い犬じゃないね」


そんな事を言いながら、その仔犬に近づく理恵。


あごをこちょこちょと、くすぐるように指でいじくる。


「ちょっと、理恵! そんな事して、付いてきたらどうすんのよ!」


私の後ろで腕をつかみ、留美子が叫んだ。


その声に驚いたのだろう。


仔犬の身体がビクッと反応し、慌てて草むらの中に入っていった。


「あー、もう。留美子が大きな声出すから」


残念そうに、仔犬が入って行った草むらを見つめて理恵が呟いた。


「だって、犬だよ犬! かむんだよ! あー、やだやだ!」


猫の時はこんな事言わなかったのに。


留美子は犬が苦手なのだと、今初めて知った。


「ギャーギャー騒いでねぇで、早く行くぞ。犬くらいでおおげさなんだよ」


「犬くらい!? 私は犬が苦手なの! 大きくても小さくても!」


そして口論を始めるふたり。