校内放送が流れて、高広の背中から消える「赤い人」。


そして、腹部にしがみつかれて、床に膝を付いた理恵の背後で「赤い人」は唄い始めた。


「わかってるよ……でも、高広を見殺しにはできないよ！」


理恵の言いたい事はわかる。


わかるけど、それは死をただ引き伸ばしているだけで、根本的な解決にはなっていないのだ。


「ハァ……ハァ……ふざけんな……よ」


もう、何を言っているかもわかっていないのだろう。


高広が、最後の力を振り絞って……といった様子で、膝を付いた理恵の腹部に回された、「赤い人」の手を引きはがそうと、手を伸ばした。


しかし、その手は「赤い人」の手には届かず空を切った……かに思われたが。


「赤い人」が、大事そうに持っている、うさぎのぬいぐるみをもぎ取ったのだ。


床に落ち、ゴツッという重い音が聞こえる。
すると……。














「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!！」