重いけど、動けないほどじゃない。






「し~ろいふ~くもあかくする~」






歌が唄われる中、私達は放送室へと急いだ。







「どうしてどうしてあかくする~」






歌も中盤に差しかかったところで、私達は放送室の前に到着した。


私がドアノブに触れても、すでにしがみつかれているから、背後に「赤い人」を呼ばれる心配はない。


「高広、着いたよ。大丈夫?」


ドアの前で、心配そうに高広の背中をさする理恵。


意識が朦朧としていているのだろう。


理恵の問いかけに、小さく「おぅ」と呟いて、理恵から離れた。






「どうしてどうしてあかくなる~」





立つのもやっとといった状態で、高広は何をしようというのだろう。


ふらつきながら、身体をドアに寄せる。


「俺が……ドアを開ける……お前ら……中に入れ」


荒い呼吸に合わせるようにそう言った高広は、私達の返事も待たずにドアノブに手をかけた。







『「赤い人」が、伊勢高広さんの背後に現れました。振り返って確認してください』







その校内放送が流れ、軽くなる私の身体。