高広の事を考えると、放送室に連れて行かない方が良いのかもしれない。


もしかすると、今以上の苦痛を味わう事になる可能性があるから。


「アアアア……」


目の前の「赤い人」もまた、私達を見すえて、首を傾げながらうなり声を出している。


「おい、そこをどけよ……俺達は放送室に用があるんだよ」


目の前の少女に、語りかけるように呟く高広。


その言葉に反応するかのように、ニタリと笑みを浮かべてこちらにゆっくりと近づいてくる。


放送室の中の人は、私達を入れさせないように「赤い人」を呼び寄せているのだと思う。


八代先生が「カラダ探し」をさせられた時に、なぜ放送室に入れなかったのか。


私達は、その理由を知るために放送室のドアを開けなければならない。


死を覚悟して、「赤い人」との距離が縮まったその時。


「キャハハハハハハッ!」


突然、狂ったように髪を振り乱し、目の前の真っ赤な少女が、私達に向かって走ってきたのだ。