床をはいながらドアを開け、なんとか立ち上がり、教室から出て生産棟の方へと向かって走り出した。


膝が笑って、思うように走れない。


それに、恐怖からか、身体に力が入らない。







「キャハハハハハッ!」






追いかけてくる「赤い人」の笑い声が、すぐ後ろで聞こえる。


でも、振り返る事はできない。


このまま逃げても、いつか追い付かれる。


「こ、来ないで!!」


恐怖を振り払うように叫び、生産棟の一番奥の曲がり角を曲がった時だった。







私は、ヌルッとした物に足を滑らせて……そこで転倒してしまったのだ。


床には真っ赤な血だまり……そして、その血を流した健司の頭が……その目が、私を見ていた。





「きゃああああああっ!」






そこから逃げようと、私はつい、振り返ってしまい……。






「ねえ、赤いのちょうだい」






最後に聞いた声は……それだった。


私は床に頭を押し付けられて……頭部を潰された。