そうたずねた時だった。
「明日香! 左腕を入れたよ!」
ホールの方から、理恵の声が聞こえた。
私が行けって言ったから、これが高広だと気づかずに棺桶に向かったのか……。
まあ、時間を無駄にしなくて済んだのならその方が良かったのかもしれない。
「理恵! こっちに来て! 高広がひどい怪我なの!」
「おおげさだ、そんな大した怪我じゃねぇよ」
強がってはいるものの、壁に持たれなければならないほどフラフラするのなら、相当なものだろう。
血溜まりの中から抜け出した私は、血で滑らないように、そこで靴を脱いだ。
動けそうにない高広に肩を貸して、今度は職員玄関に向かって移動。
「ひとりで歩ける」と、意地を張っていたけど、立つのがやっとと言った様子の高広を放っておく事なんてできず。
私と理恵が職員玄関を調べている間、事務室の壁を背に、腰を下ろして休んでもらっていた。
職員の下足箱は、生徒用と違ってスチール製のふた付き。
「それで、健司が助けたってどういう事?」
下足箱を開けながらひとつひとつ調べながら、さっき言っていた事がどうしても気になっていた。
「ん? あぁ……健司が『赤い人』を連れて逃げてくれたんだ」
「明日香! 左腕を入れたよ!」
ホールの方から、理恵の声が聞こえた。
私が行けって言ったから、これが高広だと気づかずに棺桶に向かったのか……。
まあ、時間を無駄にしなくて済んだのならその方が良かったのかもしれない。
「理恵! こっちに来て! 高広がひどい怪我なの!」
「おおげさだ、そんな大した怪我じゃねぇよ」
強がってはいるものの、壁に持たれなければならないほどフラフラするのなら、相当なものだろう。
血溜まりの中から抜け出した私は、血で滑らないように、そこで靴を脱いだ。
動けそうにない高広に肩を貸して、今度は職員玄関に向かって移動。
「ひとりで歩ける」と、意地を張っていたけど、立つのがやっとと言った様子の高広を放っておく事なんてできず。
私と理恵が職員玄関を調べている間、事務室の壁を背に、腰を下ろして休んでもらっていた。
職員の下足箱は、生徒用と違ってスチール製のふた付き。
「それで、健司が助けたってどういう事?」
下足箱を開けながらひとつひとつ調べながら、さっき言っていた事がどうしても気になっていた。
「ん? あぁ……健司が『赤い人』を連れて逃げてくれたんだ」