お互い、分かれたグループでひとりずつしか残らなかった。


でも、泣いている暇はない。


私達は、死んだ皆の分まで、ここを調べなければならないのだ。


生徒玄関を調べなければならないとはいえ、さすがに翔太と留美子の亡骸がある方から調べるのは抵抗がある。


私達は東側の下足箱から調べる事にした。


と、言っても、この高校の下足箱はふたが付いていない、靴がむき出しの木製の下足箱。


さっと見るだけでも、カラダが隠されていない事がわかる。


当然、その上も見てみるけど、あるのは使い捨てられたようなボロい靴や、空気の抜けたサッカーボール。


後は、地層のように積み重なったほこりだけ。


そうやって、ひとつひとつ調べていっても、カラダは見つからない。


「理恵、どうして翔太と留美子は殺されたの? やったの、健司だよね?」


下足箱に足をかけ、上を調べながらたずねた。


「うん……最初の校内放送があったでしょ? あの後すぐに、健司が階段を上ったから、私達はここに来たんだけど、健司がすぐに引き返してきてさ。私はすぐに隠れたんだけど……」


ふたりは隠れる間もなく殺されてしまったというわけだ。


私達がまだ調べていない場所は、ふたりの亡骸がある所だけになった。