その直後、「赤い人」が現れたから……もしかすると、今までピンポイントで私達がいる場所に「赤い人」を呼ばれていたのは、どこからか美紀が見ていたのかもしれない。


音を立てないように、制服の繊維の摩擦音でさえも出さないつもりで、ゆっくりと教室の中を見回した。


良かった、ここに美紀はいないみたいだ。


ホッと胸をなで下ろした瞬間。






バンッ!






教室の後ろの方を向いていた私の背後で、ドアが勢いよく開けられたのだ。







「し~ろい ふ~くもあかくする~」






その歌が聞こえた時、私は高広に腕を引かれた。


「明日香! 教室の後ろから逃げろ! こいつらを見るな!」


高広に腕を引っ張ってもらったおかげで、私は「赤い人」にしがみつかれなくて済んだ。


机と机の間に、四つんばいのような状態でいる私は、このまま真っ直ぐ教室の後ろまで行かなければならない。


でも……高広が言った、こいつら?


「赤い人」以外に誰かいるのだろうか?









「まっかにまっかにそめあげて~」