大職員室の中で、私達は「赤い人」がどちらに向かって動き出すのか、息を潜めて待っていた。
わずかな呼吸音でさえ、気づかれてしまいそうで。
不安と緊張で荒くなる呼吸を、音が漏れないように、手で口と鼻を覆い隠す。
これじゃあ、相談する事もできない……。
どうして、アラームが鳴っている携帯電話を追いかけないの?
何度もやったから、もう騙す事ができないの?
いろいろ考えてみるけれど、「赤い人」が何を考えているかなんてわかるはずがない。
そんな、身動きひとつ取れない私の背中を、高広が指でつついた。
振り返ると、西棟の方を指差している。
この大職員室には、入り口が2つあり、東棟側にひとつと、西棟側にひとつ。
つまり、私達がいる反対側のドアに移動しようという事だろう。
このまま、ドアの前で待っていても仕方がない。
先に移動を始めた高広の後ろに付いて、歩き始めた時だった。
ガンッ!と、何かを蹴飛ばしたような感覚に、慌てて足元を見ると、そこにはスチール製のゴミ箱が転がっていたのだ。
わずかな呼吸音でさえ、気づかれてしまいそうで。
不安と緊張で荒くなる呼吸を、音が漏れないように、手で口と鼻を覆い隠す。
これじゃあ、相談する事もできない……。
どうして、アラームが鳴っている携帯電話を追いかけないの?
何度もやったから、もう騙す事ができないの?
いろいろ考えてみるけれど、「赤い人」が何を考えているかなんてわかるはずがない。
そんな、身動きひとつ取れない私の背中を、高広が指でつついた。
振り返ると、西棟の方を指差している。
この大職員室には、入り口が2つあり、東棟側にひとつと、西棟側にひとつ。
つまり、私達がいる反対側のドアに移動しようという事だろう。
このまま、ドアの前で待っていても仕方がない。
先に移動を始めた高広の後ろに付いて、歩き始めた時だった。
ガンッ!と、何かを蹴飛ばしたような感覚に、慌てて足元を見ると、そこにはスチール製のゴミ箱が転がっていたのだ。