「あぁ、そう言えばまだだったね。高広は調べた? 東棟の一階は調べたって言ってたけど」


理恵の質問を、そのまま高広に振る留美子。


「いや、そういや調べてねぇな。玄関なんて気にしてなかったからな」


生徒玄関は、いつも素通りするだけ。


今日はそこを調べる事で一致したけど、健司をどうするかが問題だった。


まずはどこかに身を隠して、健司が動き出すのを待ってから玄関に向かう。


そう結論が出た時、目の前の玄関のドアがゆっくりと開き始めた。


玄関のドアが開き切るまでに、私達は校舎の中に身体を滑り込ませた。


作戦としては、東棟と西棟の二手に分かれて身を隠し、健司の動向を見る。


その後、東棟か西棟か、健司が向かった側のグループは逃げて、反対側のグループが調べるというものだ。


それも、「赤い人」がどこに現れるかを待ってからになる。


高広と私は、東棟に身を潜める事になった。


身動きが取りやすいように、階段でその時を待つ。


「すぐそこに職員玄関があるのにね……」


私達がいる階段は、三日目に高広と留美子が喧嘩をした場所。