やっぱり「昨日」が少しずつ変わっているせいか、この前のような変な事は起こらない。


このまま、頭と身体を洗って、湯船で身体を温めてすぐに上がろう。


いつ来るかわからない遥に怯えながら、私はそう考えていた。


いつもと同じように、シャワーチェアに腰を下ろして、頭頂部で立てた泡の中に絡めるように後ろ髪をかき上げて、指で頭皮をマッサージするように揉む。


いつも、この瞬間は緊張する。


遥が来る時間じゃないと信じたくても、今日はいつ来るかわからないから。


チラチラと背後を確認しながら、見えない遥の影に怯える。


どうして、私のリラックスタイムを邪魔されなきゃならないんだろう。


こんな事なら、遥が来てから入浴すれば良かったと思うけど、予想した、日が変わる直前に来られるとそれもできなくなる。


一日くらいお風呂に入らずに、様子を見れば良かったかなと、今となっては後悔していた。


「せめて、お風呂から上がるまでは来ないでよね……」


頭を洗い流す事も怖い。


私はその時に、どうしても目を閉じてしまうから。


それでも、急いで頭の泡を洗い流して、前髪をかき上げる。