ペタ……。
ペタ……。
足音が、教室の前の廊下から聞こえる。
このまま前のドアも通り過ぎていって!!
必死に……呼吸をする事も忘れて、ただ祈った。
「あかがつまったそのせなか~」
バンッ!と、教室の前のドアを勢いよく開けて、「赤い人」が中に入ってきた。
私の祈りは……届かなかったようだ。
もしかして、私は「赤い人」に見つかったの!?
早く逃げなきゃ……逃げなきゃ!
でも、怖くて身体が動いてくれない。
まるで、死神の鎌が、私の首に当てがわれているようで……動いたとたんに、その鎌が私の首を切り落としてしまいそう。
「わたしはつかんであかをだす~」
歌を唄いながら、「赤い人」が机の上に飛び乗ったようで、ガタンと、机が揺れる音が聞こえた。