八代先生もわからないとすれば、私達はどうすればいいのか。


次に翔太がどんな質問をするのかが気になった。


先生の言葉にどう質問すればいいかわからないといった様子で、少し考える翔太。


「じゃあ、先生が『カラダ探し』を終わらせた時、先生に『カラダ探し』を頼んでいた人はどうなったんですか? それならわかるでしょう?」


なるほど、そういうきき方もあるのかと感心していると……。


「それがね、誰に頼まれたかがわからないんだ。『カラダ探し』の記憶はあるけど、クラスメイトの中に知らない顔はなかった。どういう事かわかるかい?」


それすらもわからないという返事をする八代先生。


「どういう事……と言われても。可能性としては二つですよね? 先生の中に、その人の記憶がすり込まれたか、その人の記憶がすべて無くなって姿を消したか」


「キミはなかなか鋭いね。僕もそう思う。そして悪いけど、話はここまでだ。僕も仕事があるからね」


「わかりました。では、また『今日』のこの時間にききに来ます」


そう言い、軽く頭を下げる翔太。


職員室に向かって歩く八代先生の後ろ姿を見つめながら、結局は何もわからなかった事に、不安を感じずにはいられなかった。