私もまた、留美子と同じく教室には戻りたくない。


遥がいつ頼みに来るかわからないし、高広と理恵がどう思っているのかをききたかったから。


四限目が始まり、私達は旧校舎の階段に腰かけて、高広と理恵の考えを聞いていた。


「私は、怖いから考えたくないかな……『昨日』まで友達だと思っていたのに、いきなり知らない人になってるんだもん」


それがわからないから困ってる。


私達の記憶にある遥という人物を友達だと思っていたけど、クラスの皆はどう思っているのだろう?


もしも、遥の事を友達だと思っているのなら……。


どうして私達は遥の事を忘れているのだろう。


「俺は頭悪いからわかんねぇけどよ。遥は放課後に『赤い人』を見て、振り返っちまったんだろ? だから、俺達に『カラダ探し』を頼んでるじゃねぇのか?」


そう、そこからすべてが始まって、その時点では、私達は遥を友達だと思っていた。


でも、クラスメイトは遥の事なんて気づいていないように見えた。


でも、今は逆で……クラスメイトは遥を友達だと思っていて、私達はそうは思えないのだ。


このままだと、カラダを全部見つけた時には、私達の中から遥の記憶が完全に無くなるのかもしれない。


そんな事を考えながら、時間だけが過ぎてゆき……ついに四限目が終わっても、八代先生は出てこなかったのだ。