「とりあえずさ、八代先生にききに行かない? 『カラダ探し』を終わらせた先生なら、同じ事を思ったかもしれないし」


八代先生が職員室を出て、温室に行くのは三限目の途中。


話をきくタイミングはそこしかなかった。


三限目までの時間をつぶすために、私達は授業に出る事にした。


授業内容はまったく変わらないけれど、その光景は変わっている事がわかる。


私が遥を見ると、いつもなら首だけが私の方を向いていたのに、今日は一度も私を見ない。


それどころか、普通に授業を受けているのだ。


先生とのやり取りや、クラスメイトとの雑談。


この場面だけを見ると、良くある授業風景だけど……私にはそれが、とても不気味な物に見えてしまう。


理恵が言っていたように、遥の首が回っても、誰も気にも留めなかったクラスの皆が、普通に遥と接している。


これを異様と言わずに、何と言えばいいのだろうか。


翔太が言っていた事を本気にしているわけじゃないけど、まるで別の世界にいるようで、私がおかしくなってしまったのではないかとさえ思う。


「カラダ探し」を終わらせる事ができれば、遥が生き返っていつもの生活に戻る事ができる。


「昨日」まではそう思っていたのに、今は終わらせる事が怖い。