「『昨日』までは、遥の事なんて、誰も気にも留めてなかったのにね。ほら、ここから落ちても、翔太に首を絞められても、全然騒がなかったのにさ」


考えてもわからない。


何を考えれば良いのかがわからないのだから。


「そう言えば、誰も気づいていないような感じだったよね、私達の記憶もおかしな事になってるし」


溜め息をついてから言った理恵のその言葉に、翔太がピクッと反応した。


私は翔太に、遥の記憶の矛盾を話した。


遥の思い出がなくなっている事や、私達4人全員が、幼い頃から知っている事。


それは、翔太も同じようだった。


「『カラダ探し』をさせられる前は、確かに遥の記憶も思い出もあった。そして、『カラダ探し』が始まって『昨日』までクラスメイトの皆は、遥の事を気にも留めていなかった……」


ブツブツと呟く翔太の言葉を聞いていると、ますますわけがわからなくなる。


結論だけ言わないで、途中経過を話せと私は言ったけど、ここまでわけがわからないと、結論だけを言ってほしい。


「翔太、それで結論は? もう、何が何だかわかんないんだけどさ」


留美子だけじゃない。ここにいる翔太を除く全員が思っている事だ。