学校に行く準備を整えて、食パンを焼く。
少しずつ変化している「昨日」の中でも際立っている感覚。
遥って、一体誰なんだろう。
遥は知っている。保育所からずっと一緒で、親友とまでは言えないけど、それなりに仲の良い友達……のはず。
頭ではそう理解できているのに、思い出の中から遥の姿が抜け落ちている。
なんだろう……この違和感は。
皆も感じているのかな?
そんな事を考えながら、焼けた食パンにマヨネーズを付けて玄関に向かった。
そろそろ高広が来る時間だ。
パンを片手に靴を履き、玄関のドアを開けると、チャイムを押そうとしていた高広が目の前にいた。
「おはよう。高広、何か変わった事はなかった?」
「お、おぅ。変わった事か……特にはねぇな」
腕組みをして首を傾げ、少し考えてそう答えた。
もしかして、鈍感だから気づいていないだけかもしれない。
「じゃあさ、遥の事って思い出せる?」
私だけが、遥を思い出せないなんて事はないはず。
高広も私と同じなら……皆にきく必要があると感じた。