「キャハハハハハハッ!」







それにこの笑い声が、いつも私を恐怖させる。


足が遅い私にとっては、首に縄をかけられたも同然の状況。


全然時間が経っていないけど、あまりに怖くて……私は、西棟の横の道を通って、今走って来た所をグルグルと回ろうと決めた。


勝手だけど、近くに高広の存在を感じていた方が安心できるから。


そして、グラウンドから西棟の横の道に入り、少し走った時だった。


月明かりで見える、高広と翔太の姿。


不思議な事に、上れないと言っていた翔太が、高広のすぐ上で綱にしがみついて、校舎の半分くらいの高さにいたのだ。


それを確認した直後、私の頭部に走る衝撃。


何が起こったのか分からず、私はよろめいて倒れてしまった。


目から星が飛び出す、といった感覚だろうか?


一瞬目の前が真っ暗になり、地面に倒れた私の背中に「赤い人」がしがみついて、歌を唄い始めたのだ。









「あ~かいふ~くをくださいな~」








低いうなり声のようなその声が、私の耳に入ってくる。


腹部に回された腕を、なんとか引きはがそうするけど……。