その背中を見ながら、私の背後に迫る足音に耳を澄ませて……。


高広もさすがに辛いのだろう。


足音が私に近づき、バンッと私の背中を叩いて、それでも私と一緒に走ろうと背中を押す。


「高広、身体を休めて綱を上って。私が引きつけるから」


そう言って高広の腕を払い、私より前に行かせる。


これで高広は振り返る事ができなくなった。


あとは、私がなんとか時間を稼げば良いだけ。









「キャハハハハハハッ!」








背後に迫る「赤い人」は、やはり疲れなど見せていなかった。


「赤い人」が人を殺すパターンは二つ。


「赤い人」を見た人が振り返った場合と、背中にしがみつかれて歌を最後まで唄われる事。


まだ私は「赤い人」を見ていないから、振り返っても大丈夫なはず。


ふたりから引き離すなら、一度旧校舎の方に走り、そこからグラウンドに抜けた方が良いかもしれない。


そう考えて、旧校舎の方に向かって走り出した。









「キャハハハハハハッ!」