もしかしたら、殺されていると言いたいのだろうか?


「わからないよ。万全の状態だったら、まだ逃げてるかもしれないけど、今日は綱を運んだり、屋上から降りたりしてたでしょ?」


「そうだな。今日の『カラダ探し』は、長時間動き回ったから疲れてるよな。だったら、もう死んでると思った方が……」


と、翔太が言った時だった。










「いい加減……諦めろよ!!」








グラウンドの方から、高広の声が聞こえた。


何十分走り続けているのだろう。


それでも、高広が殺されていなかった事に、私は安堵した。


「嘘だろ、まだ逃げてたのか!?」


翔太は驚いているようだけど、実は私も驚いた。


まさか、まだ走っていたなんて、思わなかったから。


これ以上グラウンドに近づけば、「赤い人」の姿を見てしまうかもしれない。


高広の声がここまで聞こえたのなら、こっちの声も聞こえるはず。


「翔太、早く高広に伝えて! 戻ってこいって」


自慢じゃないけど、私の声じゃ細くて聞こえないと思う。


「俺かよ、別にいいけどさ……呼んでどうするんだ? 結局、綱を上らなきゃいけないんだぞ? その体力が残っているのか?」


「だからって、死ぬまで逃げ続ける事が、どれだけ辛いか知ってるでしょ!? 役に立たないかもしれないけど、少しでも高広が休めるなら私が引きつけておくよ。だから呼んで!」