「一体どこを調べろっていうんだよ……残ってるのは放送室だけなのに」


旧校舎から出た翔太は、私と同じように気分がスッキリしたのだろうか。

さっきまで、言葉のはしばしに感じた刺々しさがない。


「そうだよね。でも、まずはあの綱を上らなきゃね。翔太は上れるの?」


「上れるわけないだろ、自分の能力くらいわかってるからな」


「え!?じゃあどうするのよ! 私達は戻れないって事!?」


計画的なはずの、翔太の詰めの甘さに、私は正直ガッカリした。






「くぅぅ! 厳しいな!」


垂れ下がった綱にぶら下がり、翔太が必死に上ろうとしているけど、つかまった部分からまったく動いていない。


綱を足で挟んでいるものの、地上から20センチくらいの場所でもがいているだけ。


無理だと判断したのだろう。


手を放して、地面に足を付けると、屋上を見上げて首を傾げた。


「俺、握力ないからなあ。そうだ、明日香は上れるか? 女子でも3人いれば、俺くらい引き上げられるかもしれないだろ?」


「無理に決まってるじゃん。途中で落ちちゃうよ? それに、私が上れたとしても、パンツが見えちゃうでしょ。だから嫌!」