「赤い人」に襲われているわけではないようだから、他の問題が発生したのだろう。


それなら、二階に行っても大丈夫だ。


私は階段を上がり、翔太が待っている二階へと向かった。


「びっくりするじゃない、困った事って何?」


階段の踊り場で翔太を見上げて、私は首を傾げて見せる。


携帯電話の明かりで、うっすらと浮かび上がる翔太の顔は不気味で、何も知らなかったら幽霊かと思ってしまうほどだ。


「トイレと5つの部屋を調べ終わったんだけどな、ないんだよ! カラダがさ!」


この短時間で、それだけ調べたって言うの?


それも驚いたけど、カラダが見つからないのは、確かに困った事だった。


「しっかり調べたの? 旧校舎になかったら、後2つはどこにあるの?」


階段を上りながら、そうたずねた私に、顔をしかめて頭をかきむしる。


翔太自身、それがわかれば苦労はしないとでも思っているのだろう。


そうでなければ、校舎のすべての教室を調べるなんて無駄な事はしなかったはずだから。


「とにかく、最後の部屋を調べよう。そこに2つあるかもしれないからな。もしもないのなら、後は放送室しか可能性が残されていない」


その、最後の可能性が厄介だった。