私は、それに賭けてみる事にした。


「よし、大丈夫だよね。脚は重いけど、すぐそこだし」


この位置から、綱が垂れている場所までは、50メートルほど。


足が遅くて、遥の右脚を抱えている私でも、10秒くらいで行けると思う。


まずは、今からやらなければならない事をイメージしよう。


綱がたれている場所に走って、右脚を綱に固定したら上にいるはずのふたりに合図をする。


その後、右脚を引き上げてもらい、再び綱をたらしてもらって棺桶に納めに行ってもらう。


完璧なイメージを浮かべる事ができた私は、ふたりが待つ場所へと駆け出した。


「理恵! 留美子! カラダ見つけたよ!」


イメージ通り、綱が垂れている場所へとたどりつく事ができた私は、その綱を揺すって合図を送る。


すると、それに答えるように留美子が屋上から顔を出した。


「見つけた! 右脚!」

綱の先端の輪を使って遥の右脚を結び付け、それを指差して見せた。


「明日香! 『赤い人』が、旧校舎に現れたって校内放送で言ってたけど、大丈夫だったの!?」


やっぱり、校内放送は流れていたんだ。


私が屋上から降りる前は、理恵が校舎の中の音を聞いていた。