「どうしてどうしてあかくなる~」
どうしよう、このままじゃあ……私が見つかってしまう。
誰が見つかったらいいってわけじゃないけど……やっぱり怖い。
「お手てをちぎってあかくする~」
そんな事を思っている間にも、「赤い人」は次のデスクへと移動する。
椅子を引く音が聞こえる度、私の命が削られているようで、荒くなっている呼吸を抑えるのも辛い。
「からだをちぎってあかくなる~」
その次のデスク……私が隠れている対面の椅子が引かれた。
先生同士の境界だろうか、向かい合うデスクの間にある、薄いベニヤ板が私を守ってくれている。
これがなければ、私は向こう側から「赤い人」に見つけられただろうから。
そして……また、声が移動を始めた。
「あしをちぎってもあかくなる~」