「今、ここに『赤い人』が……あ!」


翔太の声に、振り向いてしまった。





これで、目の前に「赤い人」が……あれ?







現れない。


どうなってるんだろう、確かに「赤い人」をみたはずなのに、振り返っても殺されない。


「『赤い人』を見たのか!? でも、明日香は今、振り返ったよな?」


確かにあれは「赤い人」だったのに。


何がどうなっているのかわからないまま、私は首を傾げた。


「赤い人」と同じ顔の少女、同じ姿だったけど、どこか違う。


そうだ、確かに赤い服を着ていたけど、顔や手は白かった。


返り血を浴びた「赤い人」じゃない。


もしかして、今のは……。


私の脳裏をよぎったひとりの人物の名前。










小野山美紀。


「小野山美子」の双子のお姉さん。


「翔太、美子と美紀は、赤い服を取り合って喧嘩したんだよね?」


「ああ、そうだな。八代先生が集めた情報だとそうなる」


「じゃあそうだ。きっと今のは小野山美紀だよ。私達を見てたんだよ」


私の言葉に驚いたような表情を浮かべる翔太。


でも、そう考えないと、私が殺されなかった説明が付かない。