「明日香、まだ見つけていない部分は、頭部、左腕、右脚だから、それが入らない所は省いてもいいぞ」


そうは言うけど……遥の腕くらいなら、どの引き出しにも入りそうで。


結局は、全部の引き出しを調べなければならないのだ。


そうして、ひとつ目のデスクの引き出しを調べ終わり、椅子を引いてデスクの下に照明を向けた時だった。








今まで椅子があったその場所に、白い手と白い顔の……赤い服を着た女の子が、私の顔をジッと見つめていたのだ。








誰……これ。


いや、この突き刺すような眼差しは、いつも感じている。


それに、この顔は……「赤い人」!?


まさか、こんな所に隠れているなんて。


あまりに突然の出来事で、声が出ない。


ダメだ……もう振り返る事ができないし、このままだと襲われる。








そう思った時だった。


デスクの下の「赤い人」は、出てくるどころか、奥の隙間に消えていったのだ。



「えっ!? どうして?」


その不可解な行動に、思わず声を上げてしまった。


決して、反対側のデスクから出たわけじゃない。


なのに、その姿は消え、私に残ったのは謎だけ。


「どうした? 明日香。何かあったのか?」